【オーストラリア栄養士が徹底解説!】海外で管理栄養士・栄養士を目指すには!オーストラリアの管理栄養士と栄養士

海外で栄養士を目指すには!オーストラリアの管理栄養士と栄養士
この記事のまとめ

この記事では、海外または日本国外で栄養士及び管理栄養士を目指す方法を徹底解説!

本ブログでは、オーストラリアにフォーカスし、

Nutritionist (栄養士)とAccredited Practising Dietitian (APD) (管理栄養士)の資格の違いや

オーストラリアへ留学を目指す方や、海外の栄養士制度などが気になる方に参考になる記事です。

  • 海外の栄養士や管理栄養士についてもっと知りたい!
  • 海外で管理栄養士または栄養士になるには?
  • 海外で国際的な栄養士になりたいけど、情報が少ない!
  • 日本と海外の管理栄養士または栄養士制度の違いって?
  • 医療英語または栄養関連の英語を学びたい。
  • 日本の栄養士は世界的にも地位やレベルが低いって本当?

など、ご自身で思ったことや調べたことはありませんか?

私自身、管理栄養士として働き始める以前より、将来は国際的に働きたい!と思いながら、上記のような質問に対する答えや欲しい情報がほとんど皆無に近く、先が見えず不安で大変な思いをしました。

今回は、実際にオーストラリアでの大学生活を送って見えてきた、留学前に分からなかった大学内での制度や栄養士制度を見ていきます。

Contents

日本の管理栄養士・栄養士になるためには  

日本の管理栄養士・栄養士養成校での資格取得

まず、日本の管理栄養士及び栄養士になる過程を見ていきましょう。日本では管理栄養士になるには大きく分けて2通りに分かれます(図1)。

日本の管理栄養士・栄養士養成校での資格取得
図1:日本の管理栄養士・栄養士養成校での資格取得
栄養士になる場合

専門学校、短期大学、大学の栄養士養成施設

  1. 2〜4年の修業期限を履修し卒業する。
  2. 都道府県知事の免許を受けて栄養士となる。
管理栄養士になる場合

専門学校、短期大学、大学の栄養士養成施設

  1. 2〜4年の修業期限を履修し、卒業後、実務経験を積む。
  2. 就職後、栄養士として、またはそれに関連する業務に就いた実務経験の証明を、会社および事業所の上司や担当者に作成してもらい、管轄の市町村の窓口に提出。
  3. 都道府県へ必要な書類を提出。
  4. 認定された場合、初めて国家試験の受験資格を得る。
  5. 管理栄養士国家試験受験。
  6. 合格→厚生労働大臣の免許を受けて管理栄養士となる。

管理栄養士養成施設

  1. 4年間の修業期間終える(毎年3月)
  2. 管理栄養士国家試験を受験(毎年3月) ※卒業と管理栄養士国家試験が同じ月のため、多くの学生は、見込み卒業と見込み管理栄養士として、就職活動をする生徒がほとんど。
  3. 管理栄養士国家試験受験。
  4. 合格→厚生労働大臣の免許を受けて管理栄養士となる。
  • 管理栄養士:国家試験の合格が必要。
  • 栄養士:養成施設の卒業と同時に都道府県知事の免許を受ける。

同じ管理栄養士を目指すルートでも、短大や専門学校に行くのか、それとも管理栄養士養成校に行くのかで、

その後の国家試験受験資格を得るまでの年数が変わることが、他の医療職とは違うのが特徴です。

オーストラリアのNutritionist (栄養士)・Accredited Practising Dietitian (APD) (管理栄養士)になるには

NutritionistAccredited Practising Dietitian (APD) 養成校での資格取得

次にオーストラリアでNutritionist (栄養士)またはDietitian (管理栄養士) になる過程を見ていきましょう。

オーストラリアでは、DAA (The Dietitians Australia)と呼ばれる、いわゆる日本で言う日本栄養士会のような組織に認可された大学のコースを終業することが条件となっています。さらに、卒業後にDAA のAPDプログラムに参加することで、Accredited Practising Dietitianになることができます。

そのほとんどは大学となり、専門学校や短大等は含まれておりません(図2)。オーストラリアの大学はコースにもよりますが通常3〜4年制です。詳しくは後ほど説明いたしますが、筆者の場合は3年制のNutrition and Science を受講しました。

図2:オーストラリアのNutritionist (栄養士)・Accredited Practising Dietitian (APD) (管理栄養士)になるには
図2:オーストラリアのNutritionist (栄養士)・Accredited Practising Dietitian (APD) (管理栄養士)になるには (2024.4月更新)

Nutritionist (栄養士)・Accredited Practising Dietitian (APD)の資格の違い

まず先に、オーストラリアでのNutritionist (栄養士)・Accredited Practising Dietitian (APD)の資格の違いを説明します。

オーストラリアも日本同様、DietitianはNutritionistでもあります(図3)。

オーストラリアのNutritionist (栄養士)・Accredited Practising Dietitian (APD)の資格の違い
図3:Nutritionist (栄養士)・Accredited Practising Dietitian (APD)の資格の違い

日本で言う、管理栄養士は栄養士の上級資格の位置付けにあるイメージと同様、Nutritionistは主に健康な人向けに栄養指導やカウンセリングを行うのに対し、Dietitianはそれに加えて病院やクリニック、研究機関等で臨床に必要なスキルを必要とします。そのため、オーストラリアでは、

大学3年制 を卒業した場合(i.e. Nutrition Science コース)

Nutritionist (栄養士)までしかなれない。

  • 日本では栄養士養成学校を卒業と同時に都道府県知事の免許を受けて栄養士となりますが、オーストラリアでは、栄養士と名乗る資格については規制がないため、言い換えると誰でも栄養士になれる・呼ぶことができてしまう。
大学4年制 を卒業した場合(i.e. Nutrition Dietetics コース)
大学院へ進学した場合(i.e. Nutrition Dietetics コース)

卒業後、DAA (The Dietitians Australia)の認可を受けて、Accredited Practising Dietitian (APD)となる。

筆者は入学前、4年制の『Nutrition & Dietetics (Honours)』のオファーを頂いていたんですが、3年制の『Nutrition and Scinence』へ変更しました。それは、3年制であっても4年制であっても学位は“Bachelor 学士”でありNutritionostにしかなれないこと。

日本での経験があり管理栄養士の資格がある以上、今後自分がオーストラリアで行っていきたいことを視野にDietitianが必要と判断し、学費をセーブするためにも3年制を選びました。※UOWで3年間学び、大学院へそのまま進んだ場合は、大学院一年目で3科目の科目免除をしてもらえます。

オーストラリアの大学院の2年間では、臨床の現場にて必要なスキルや知識を身につけます。2年次の一年間は、研究と並行し、病院や学校、地域等、自分の興味のある分野での実習を合計 840時間(約21週)行う必要があります。

現在多くの管理栄養士養成施設で行われている臨地・校外実習は、180時間(1ヶ月ちょっと) のようです。

日本とオーストラリア:栄養士・管理栄養士の資格取得後の違い

日本:栄養士・管理栄養士資格取得後は一生使える

日本では、管理栄養士国家試験にさえ合格してしまえば、その資格は一生使うことができますよね。

なので、日本だと管理栄養士でありながら、沢山の民間資格を取得している方が多いように感じます。

これは当人のモチべーションとも言えますが、反対に言い換えると、国家試験だけでは知識やスキルアップできないのは当然であり、日本国内での管理栄養士の立場が、いまだに“調理やレシピ開発”に重点が置かれ専門的知識を持ったコミュニティ集団としての地位が確立されていないことではないか。と筆者は考えます。

オーストラリア:資格取得後は生涯学習が必須。

これと相違して、オーストラリアでは卒業後に国家試験というものは存在しません。その代わりに、Accredited Practising Dietitian (APD)になる場合は、卒業後にDAA (The Dietitians Australia)APDプログラムに参加する形になります。

Accredited Practising Dietitian (APD) なった場合は、毎年、指定のスキルアップや実務経験を継続していなければレベルが上がっていかないと言うことが、日本と違うかなと思います。

日本の場合は、経験年数で考慮されることが多いので、管理栄養士として◯年としていても、スキルとしてのレベルは測れないので、オーストラリアのようなシステムは、非常に目に見える化で、なるほどな。と関心します。

また、経験が豊富なDietitianや大学教授レベルの人が所有しているAPDのレベルは、下記の図で示しているAdvanced APDsが多いです。私もこの辺りはまだ未知の世界なので、大学院等の実習や講義でこのあたりを詳しく勉強するのを楽しみにしています。

図4:日本とオーストラリアの栄養士資格取得後の違い

図4:日本とオーストラリアの栄養士資格取得後の違い

図4に示している、右側のAccredited Practising Dietitian (APD)と記載のピンクの欄ですが、実際には、大学や大学院卒業後もAccredited Practising Dietitian (APD)のプログラムに参加せず、普通にDietitianとして活動する方、Health Promotion Officer( ヘルスプロモーションオフィサー)と言う形で、コミュニティーでの公衆栄養分野、特に健康増進や予防医療の分野で活躍している方も多いようです。

  • APDと呼ばれるDietitianですが、必ずしも卒業と同時にDAA のAPDプログラムに参加することを義務付けられているわけではなく、医療機関等で働く場合や、大学等の研究機関等で勤務する場合には、APD資格がDietitianとしての地位を確定してくれるものであり、例えば、Nutritionistや自然療法のNaturopath等を保有する他の資格との差別化になるために、APDを持っている方が良い。と言うような、全体イメージです。
  • わかりやすい例で言うならば、公認スポーツ栄養士は管理栄養士しか取得できない資格であり、公認スポーツ栄養士の資格がなくともスポーツ栄養士の分野で働いている人もいますし、必須ではないですが、業界的に“あったら違うよね”と言うような位置付けに近いかもしれません。

日本とオーストラリアの栄養学生の大きな違い

調理実習や給食管理実習は一切行わない

前述で述べてますが、日本国内での栄養士・管理栄養士の立場は、いまだに“調理やレシピ開発”に重点が置かれています。これは、そもそも日本の栄養養成施設の教育現場から、栄養士・管理栄養士が

  • 栄養士・管理栄養士は料理ができるもの・するもの
  • 栄養士・管理栄養士がメニューやレシピを開発するべき・調理現場を主導するもの
  • 栄養教育には、食物知識が絶対必要など 

などに重点が置かれているから、とオーストラリアの学部で3年間学ぶ中で強く感じました。

オーストラリアでは、一年生から毎回こんなことを教授陣から強く叩き込まれます。

  • 栄養価計算なんてコンピューターがするものだから手計算なんてしない
  • 栄養士は調理をするための人材ではない、あなたたちは研究者の一員よエビデンスに基づいたサイエンスベースの考えで中立的な立場を必ず取ること。
  • 必ずしも、dietitianになる必要はない。Nutritionistの方が仕事の幅が広がる場合がある。大学を出た学位があるならば、どちらも専門職である。

日本では、

  • 学生なんだから、まず計算の仕方と方法を学ぶべき。>> 栄養価ソフトがあるのに、使わせてもらえなかった。笑
  • 調理実習や給食管理実習が毎日ある >>調理師なのかと勘違いするレベル。笑
  • 栄養士<管理栄養士 という位置付けで、研究者の一員なんて言われたことなどは社会人になってからも一度もない。笑

こうも違うんですね。。。それを踏まえ、

ここが違う

まず筆者の在籍するUOW (University of Wollongong)では、調理実習や給食管理実習は一切行いません。これは、UOWだけに限らず、オーストラリアのdietitianに求められているものが “料理”や“調理スキル”ではないからです。

調理や調理現場で働く人は、フードサービスを学んだ別の職種の人になることが多いです。

栄養士はScientist 研究者?

オーストラリアの栄養士は、他の医療職と同じメディカルスタッフであると同時に、研究者=サイエンティスト寄りの位置付けでもあるということです。研究者というと少し硬いイメージですが、私自身が大学で学んできた中で、様々な教授からの言葉を日本語に言い換えると

  • Nutritionist/ Dietitian になるために最低限の医学知識、栄養学や生物学を3〜4年学んできた
  • エビデンスに基づいた、中立的な立場での判断をするべきである
  • 栄養に関しては、ある一定以上の知識が備わっている
  • 一年生から膨大な数の研究論文に目を通したり、レポートを書いたりすることが必要なスキルとされている。
  • 研究の実践や方法、論文の書き方、その際に必要な統計スキルも必須で学びます。※日本の場合、こららは大学院の修士や博士課程に行かなければ学ばないのでしょうか。

という意味です。調理実習等はないですが、生物学や解剖学を徹底的に学び、統計や研究の行い方まで徹底的に学びます。

専攻の途中変更や複数分野を専攻してもOK 

日本の場合は、専攻別に学ぶ大学システムが通常です。

ですが、私の在籍するUOWでは、栄養学部は The Faculty of Science, Medicine and Health等に所属しており、医師、歯科医、薬剤師、医療サイエンス、理学療法(フィジカルセラピスト)、栄養士等を目指す生徒は、大学1~2年目はごちゃ混ぜに一緒に勉強します。

ですので、“栄養士を目指す生徒だけが、クラスメイトではない”と言うところが日本の大学とは大きく異なります。

日本

専攻別に学ぶ大学システム

栄養士養成校

管理栄養士栄養士を目指す

医学部

医師を目指す

薬学部

薬剤師を目指す

オーストラリア

The Faculty of Science, Medicine and Health

e.g. 学生/students

栄養士を目指す/ Nutrition students

医師/歯科医を目指す/ Pre-Medicine students

理学療法師を目指す/ Exercise Science students

個人的には、この欧米のシステムはとても良いと実感しております。

なぜなら、社会に出てから医師が常にトップにいる日本の医療システムとも大きく異なり、学生時代から、常に他の医療職のことを知り、尊敬して、それぞれがプロとして、お互いを助け合う対等な関係づくりに役立つと思うからです。

また、大学の「専攻」の特徴は、その柔軟性です。

例えば1年次の終わりに、「栄養学専攻」だったが、医師を目指したいと進路変更をしたい場合には、一定の成績を収めていることは条件になりますが、すでに同じ科目を勉強してるのでそのまま、専攻を変えるだけでOKです。

逆に、勉強についていけず “「栄養学専攻」はこのまま続けられなそう。”となった場合も、同大学の違うコースに行くことや、他大学の他のコースに編入することも一般的です。

今回の内容は以上です。参考になりましたでしょうか?オーストラリアの栄養士に興味ある方は、他の記事もご覧ください

Reference・引用
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