【オーストラリア栄養士が徹底解説!】栄養士の年収は日本の2倍以上?!海外栄養士のお給料・年収について

海外の栄養士お給料・年収_オーストラリア栄養士

近年騒がれている、低迷する日本経済や円安問題。先進国のなかでも、ここ30年以上賃金が上がっておらず、日本の低賃金問題は深刻です。

そんな今回は、お給料が低いと言われる日本の栄養士と、海外の栄養士のお給料を比べていきます。

この記事でわかること

この記事では、オーストラリアのNutritionist (栄養士)とAccredited Practising Dietitian (APD) (管理栄養士)のお給料や年収について解説いたします。

日本の栄養士・管理栄養士のお給料や年収と比較したい方、将来的にキャリアアップや国外で活躍したい方、オーストラリア留学を目指す方に参考になる記事です。

Contents

オーストラリアは世界でもトップクラスの最低賃金が高い国

オーストラリアの時給は日本の2倍以上

オーストラリア

  • 先進国の中でも、世界でトップクラスの最低賃金が高い国。
  • 最低時給:$21.38(AUD)1=約2000円
  • 週末や時間外:更にお給料がアップ!

日本

  • 日本で最低時給が1,000円を超えてる都道府県は東京都・神奈川県・大阪府の3都道府県。
  • 最低時給:1072円2 (東京都-2022/10/1より)  
  • 最低時給: 853円3 (沖縄県-2022/10/6より)

この額は、専門職などを別として普通に街でアルバイトして働いた時の最低賃金なので、この時点で既にオーストラリアと日本を比較するとその差は約2倍です。

休日勤務・早朝や深夜手当は更にお給料がアップ。

オーストラリアでは、各州の法律で週末や時間外の割増し額が定められているため、早朝や深夜手当も発生します。

  • 土曜日:1.2倍
  • 日曜日:1.5倍
  • 祝日:2倍

日本の場合、休日出勤の場合は代休扱いになったり、割り増しの残業代はあるかもしれませんが、正社員含めアルバイトやパートであっても、休日や祝日の割り増し額を平等にもらえる企業はほとんどないのではないのでしょうか。祝日で2倍の額がもらえるなら、むしろ出勤したい!と思ってしまうほど。

なので、雇用主はこの規定に従わなければならないので、オーストラリアでは基本的に残業はダラダラせず、定時でキッパリ上がる人が多いのは、このような理由です。

オーストラリア栄養士のお給料と年収

オーストラリアの Nutritionist とDietitian について簡単に説明

こちらの記事で詳しく説明していますが、オーストラリアのNutritionistとDietitian (APD)の資格取得までのステップが日本とは多少異なりますが、NutritionistとDietitianができる仕事内容は日本の栄養士と管理栄養士のイメージに近いものがあります。

簡単にまとめ
Nutritionist
  • 大学3〜4年を履修
  • Dietitianではないため、医療に関連した栄養関連のアドバイスはできず、一般的なアドバイス中心を行うす。
  • 誰でも名乗ることもできる。
Accredited Practising Dietitian (APD
  • 日本でいう栄養士会のようなDietitians Association of Australia (DAA)に認可された大学で、最低でも3〜4年の履修が必要。
  • その後、更に大学院で2年間、研究や現場実習を積み、卒業後にDAAに登録申請することで、初めてDietitianとして認定される。
  • 主に対象は、医療機関で患者さんやクライアントのための臨床スキルが必要になってきます。(日本でいう管理栄養士の仕事に近い。)
  • DietitianはNutritionistでもあり、どちらを名乗ることができる

オーストラリアのNutritionist ・Dietitian の平均年収は日本より2倍高い?!

上記でも説明してるとおり、オーストラリアは世界でもトップの最低賃金が保証されている国です(レストラン等の飲食店や違法なビジネスをしていない限り)。

下記の図1を見てわかるように、NutritionistとDietitianの最高額・最低額の平均と比較すると、日本の栄養士・管理栄養士の年収は約2倍ほど低いことがわかります。

最低時給が既に2倍以上あるので、当たり前と言ってしまえば当たり前ですが、それでも日本で13年働いてきた筆者からすると、改めて数値で比べるとショックです。

  • ただし、オーストラリアも日本同様、NutritionistとDietitianと言っても業種や職種、経験年数等でお給料の幅が異なりますので、あくまでも平均的な数値として見た場合です。
オーストラリアと日本の栄養士・管理栄養士の平均年収の比較
図1:オーストラリア4と日本の栄養士・管理栄養士5の平均年収の比較

オーストラリア栄養士のお給料と年収は業種、栄養士レベル、経験によって異なる

どの職種でもそうですが、新卒や未経験で新しい仕事につく場合は、経験者によってお給料や年収は異なってきますよね。

がしかし、図2を見ての通り、日本とオーストラリアでは資格取得後に大きな違いがあります。まとめると、

日本とオーストラリアの栄養士資格取得後の違い
図2:日本とオーストラリアのDietitianの資格取得後の違い7
  • 日本:国家資格に合格し、資格を取ってさえしまえば一生働ける。
  • オーストラリア:大学卒業後、DAA6に認可されDietitianの資格を得ても、毎年スキルアップをしていかないと資格は維持ができない。7

オーストラリア栄養士はスキルを磨き、更にレベルアップすることで給料・年収が上昇

資格取得後の仕組みが異なることを説明しましたが、この制度があることで日本との明確な違いがあります。それは、

  • Dietitianは通常、専門職としてのスキルを磨き、更にレベルアップをしていく。そのため、
  • Dietitianレベルごとに、お給料や年収が上昇していく。
  • 医療機関や政府機関、企業で働く求人案内にも、図3赤枠のようにレベルが記載されていることが多い。
図3:LinkedInの求人例
図4:NSW HEALTH SERVICE HEALTH PROFESSIONALS (STATE)
AWARD 20228 NSW州 行政医療従事者の給与区分

図4、NSW州 行政医療従事者の給与区分を見てわかる通り、その区分はかなり細かく明確です。もちろん、行政のポリシーを決定するポジションの栄養士や大学教授クラスの栄養士の年収は、言うまでもなく高額になりますが、オーストラリアも業種・職種、経験年数によって、お給料や年収はかなり幅があることがわかります。

民間資格は不必要なオーストラリア!

日本の場合

求人案内等で“経験者優遇” “臨床経験3年以上”と記載があっても、経験3年と経験20年の人のお給料の差は、公務員以外はなかなか公になっておらず、同業者同士でもこのような話題はタブーな傾向にあるので、なかなか明確になってませんよね。

そのため、筆者が考えるには、日本では国家資格を持っている管理栄養士でさえも、他者との差別化を図るための手段として民間資格をプラスαして、

  • 管理栄養士 + 健康運動○○
  • 管理栄養士 + ○○アドバイザー
  • 管理栄養士 + 食育○○
  • 管理栄養士 + 管理健康栄養○○

などど、アピールするほか、転職やフリーランスとして活躍する際に有利にならないのかもしれません。

例:医師になるには医学部を卒業→国家試験に合格→研修医→医師になる。どんなに医療の勉強や知識を民間資格で取ったり、勉強したところで、医師とは名乗れないし、医療行為は行えない。それが専門職の姿。

ですが、日本の栄養業界はどうでしょうか? 特に食や健康に関しても民間資格が多く、世界的に見ても稀な国です。これは言い換えると、栄養に関する専門的な知識や信用性が高い国家資格があるにも関わらず、誰でも取れてしまう民間資格を国や協会が認めてしまっている限り、管理栄養士の地位を守れていないのも同然です。

国家資格のない医療マニアの人が何かを発言する場合、信憑性に欠けるのに対し、栄養に関するアドバイスや発言に関しては、モデルや芸能関係者が発言することでメディアでは取り上げられるケースが多くてとても不思議でしかなりません。

オーストラリア

日本のような食や健康に関しても民間資格はほとんで存在しません。仮に存在したとしても、オーストラリアやその他の欧米圏を含め、Dietitianの立ち位置と地位が確立されているため、おそらく、民間資格で取ったレベルの資格は相手にされないのかもしれませんし、メディア等で発言する人は、必ず信用性のある専門家が使われます。

また、オーストラリアの栄養士協会でもあるDAA6という機関が、オーストラリアのDietitianを守るために、食や健康に関しても民間資格の存在を認めないであろうことが一番大きい、日本との違いかもしれません。

筆者がとても関心する点として、オーストラリアでは、インターネットで栄養や健康に関しての情報を調べると、必ず政府機関のサイトか、公的機関の信頼が高いサイトがSEOの上位に上がってくるようになっており、国や機関も相互協力していることが伺えます。

まとめ

日本とオーストラリアでは、専門職になるまでの過程も多少異なり、資格を取った後も生涯学習をしていかないと栄養士としてのスキルを維持できない仕組みが確立されています。

日本栄養士会に同じような権限があったら、日本の栄養士業界全体の仕組みが変わり、生涯学習を通して管理栄養士が民間資格を必要とせず、単体の資格だけで自信を持って働けるのかもしれません。また、管理栄養士の立場が向上し、世に認知されることで、専門職としての在り方が変わる可能性が期待できます。

そうなってくると、日本の栄養士や管理栄養士のお給料も、今よりも確実に上がってくるのではないかと思います。それには、資格をただ取って終わりではなく、常に学ぶ姿勢を身につけることが大切です。

References 引用
  1. ‘Minimum wages – Fair Work Ombudsman’, n.d., viewed 9 February 2023, https://www.fairwork.gov.au/tools-and-resources/fact-sheets/minimum-workplace-entitlements/minimum-wages.
  2. ‘東京都最低賃金は10月1日から時間額1,072円になります’, 2022, September 30, viewed 9 February 2023, https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/houdou/20220930chinginka.html.
  3. Naha City, 2023, January 2, ‘沖縄県の最低賃金’, viewed 9 February 2023, https://www.city.naha.okinawa.jp/business/koyouroudou/saiteichingin201702.html.
  4. ‘What’s the difference between a dietitian and a nutritionist?’, 2022, March 9, viewed 9 February 2023, https://www.open.edu.au/advice/insights/dietitian-vs-nutritionist-in-australia.
  5. ‘管理栄養士&栄養士の給料事情!平均年収をさまざまな角度で徹底的比較! | 栄養士・調理師のお役立ち情報|栄養士転職ナビ’, n.d., Retrieved from https://eiyoushi-tensyoku.com/column/career/121/.
  6. ‘About us | Dietitians Australia’, n.d., viewed 31 January 2023, https://dietitiansaustralia.org.au/about-us.
  7. ‘Dietetics’, n.d., Retrieved from https://ahpa.com.au/allied-health-professions/dietetics/.
  8. ‘NSW public health system awards and determinations – Remuneration and conditions’, n.d., viewed 9 February 2023, https://www.health.nsw.gov.au/careers/conditions/Pages/awards.aspx.
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