この記事では、海外または日本国外で栄養士及び管理栄養士を目指す方法を徹底解説!
本ブログでは、オーストラリア留学にフォーカスし、日本の栄養士 / 管理栄養士 養成施設をすでに卒業されていて、大学院を目指す方やオーストラリアのAccredited Practising Dietitian (APD) (管理栄養士)を目指したい方に参考になる記事です。
- 海外の栄養士や管理栄養士についてもっと知りたい!
- 海外で管理栄養士または栄養士になるには?
- オーストラリアの大学院留学をしたい、または興味がある
- オーストラリアの大学院留学に必要な、日本での必修履修項目は?など
有難いことに、オーストラリアの大学院留学に興味がある社会人管理栄養士さんや学生さんから
ご質問をたくさん頂いております。ですので、今回は私の通うUniversity of Wollongong の大学院留学についてまとめていきます。
※この記事では大学院博士課程PhDについては触れていません。
大学院コース (Master of Nutrition and dietetics) の対象者と対象外の方
大学院コースの対象者=大学院で勉強できる方
- すでに管理栄養士であり、学士号取得済み。(大学卒業から10年以内)
- すでに栄養士であり、学士号取得済み。(大学卒業から10年以内)
- 管理栄養士・栄養士として仕事をしていないが、学士号がある方。(大学卒業から10年以内)
- 専門学校3年制の卒業生で学士レベル相当と認められた場合。(専門学校卒業から10年以内)
- 現在4年制に通う大学生で、学士号は取得していないが卒業後の留学を検討中 など
※日本での履修項目を証明するために、シラバスを翻訳する等の作業が出てきます。
※専門学校卒業生については、学士相当と認められない場合もあるそうなので、エージェント等を通して学校に問い合わせしてもらうとよいと思います。
大学院コースの対象外の方=大学院で勉強できない方
- すでに管理栄養士であり、学士号取得済み。(大学卒業から10年以上)
- すでに栄養士であり、学士号取得済み。(大学卒業から10年以上)
- 管理栄養士・栄養士として仕事をしていないが、学士号がある方。(大学卒業から10年以上)
- 短大2年制で学士号を取得していない。など
筆者のように、社会人経験と管理栄養士経験があっても、卒業からすでに10年以上経過している方の場合は、編入という扱いが認められないため、大学一年生から一からやり直す必要があります
一年生から大学で学ぶステップや流れは、こちらの記事を参考にしてください。
詳しく、大学の入学資格基準を見ていきたいと思います。
大学院コースの入学資格/条件=Entry Requirements
まずは、英語力と基礎学力(専門)の該当項目をみていきます!
英語力
English Test | Overall Score | Reading | Writing | Listening | Speaking |
IELTS Academic | 7.0 | 7.0 | 7.0 | 7.0 | 7.0 |
TOEFL (Internet-based) | 94 | 24 | 27 | 24 | 23 |
Other tests UOW accept:
- PTE (Pearson Test of English – Academic)
- C1 Advanced Cambridge
- C2 Proficiency Cambridge
- OET (Occupational English Test) – accepted for some health-related courses.
英語のテストは2年間有効です。なので、早め早めに準備をしておくことが大切です。
社会人の方は、仕事をしながら勉強する時間がなかなか取れないと思いますので、思い切って英語の試験を受けてみて、自分の実力を知っておくと勉強のモチベーションが上がるかもしれません。
Master of Nutrition and dietetics 入学の前提条件について
A Bachelor degree of at least 3 years’ duration from a recognised tertiary institution. Pre-requisite content must include content in human biosciences, food and nutrition, taught in an evidence-based paradigm. Human Biosciences and Food and Nutrition Science must include:
- Chemistry (0.25 EFTSL) followed by Biochemistry (0.25 EFTSL – typically two subjects at second year level or higher and must include metabolic biochemistry and laboratory practicals);
- Human Biology (0.25 EFTSL) followed by Human Physiology (0.25 EFTSL – typically two subjects at second year level or higher and must include systems physiology including laboratory practicals); and
- Nutrition science scaffolded across years of study (0.5 EFTSL – typically four subjects at different year levels across the degree)
- Statistics – preferably biostatistics
Candidates must meet the pre-requisites for study. These pre-requisites are detailed in the Supplementary Information Form.Candidates must provide two referees’ reports and submit their completed Supplementary Information Form with their application.
大学院入学前に、最低3年間大学やそのレベルに相当する機関で、以下の科目を学んでいる・いた必要があります。
- ヒューマンバイオサイエンスー人間生物科学
- 食物栄養学関連
また、上記の科目に、
- 化学ー生物学 (通常2科目を大学二年次相当レベルまたそれ以上で学んでおり、代謝関連(解糖系・ATP サイクル等)と実験が含まれていること。
- ヒューマンバイオサイエンスー人間生理学(通常2科目を大学二年次相当レベルまたそれ以上で学んでおり、生理学関連と実験が含まれていること。
- 食物栄養学ー通常4科目を最低3年間通して学んでいること。
- 統計学ー生物系統系(医療系)が好ましい。
おそらく、多くの栄養系卒業生や学生さんの方は、履修項目に関してはクリアできると思います。しかし、日本の栄養系養成施設では統計学が含まれていないので、ここで多くの方が、“統計学なんて勉強していない!”という問題に直面します。
それでも、オーストラリアの大学院に留学したい!と感じている方。希望を捨てないでください。
後ほど、解説していきますが、その前になぜオーストラリアの大学院で統計学が必要とされているのかを、筆者の個人的な見解を少しだけ
栄養学なのに、なぜ統計学?
オーストラリアの大学院で統計学が必要とされるわけ
オーストラリアの大学院で統計学が必要とされるのは、こちらの大学・大学院レベルで学ぶ栄養学は、日本のように食事を作ることやレシピを考えるフードサービス系の栄養士よりも、どちらかというとサイエンス色が強く、どの分野の栄養士であっても、エビデンスに基づいて文献データを読み、現場で使えるスキルを身に付けることが必要とされているからではないかと思います。(※なので給食管理実習等の授業はないです!)
大学生の段階で、数多くの文献を読む必要があり、そこには必ず様々な医療サイエンスの統計でデータが出てきます。ですので、どんな方法でデータを集めて研究を行ったのか?など、細かいことを、大学一年時からちょくちょく学び、大学2年次に、統計学の履修が必須となっています。
学んだ統計学の内容
統計学の内容は、基礎統計となっていましたが、主に以下の内容を学びました。
- Gathering and Exploring Data and Association
- Probability, Distributions, and Sampling Distributions
- Estimation, and Hypothesis Testing for Categorical and Continuous Data
- ANOVA and Nonparametric Statistics
- Confidence Intervals
- Comparison of Two Groups
- Introduction to SPSS and Exploratory Data Analysis
- Exploring Associations between Quantitative Variables
- Testing Relationships between Categorical Variables
おそらく大学生活で一番大変な教科で辛かったのが本音で、もう二度と勉強したくないし、見たくもない教科です
一緒に学んでた学生は、栄養系や医学部進学系、あとは理系の生徒!そんな数学大好きの他の生徒についていけるわけもなく…3時間あった最終試験はオープンブックにも関わらず、問題が全く解けず(手計算)で、ほとんど空白のまま提出したとう、苦い思い出。どうやって自分がこの科目にパスできたのかも、いまだに謎…(笑)
どうやって大学院コースに必要な統計を学ぶのか?
それでは、日本の大学を卒業した方や、学生さんの方は、どうやって大学院コースに必要な統計を学ぶのか?
ここからの話は、私が実際に学部のドクターに相談し、そのアドバイスとなります。
先生、質問があります!日本の栄養士養成施設(大学)では、統計学が履修項目に入っておらず、ほとんどの卒業生や現在学生の子は、統計学を学んでないんですが、大学一年生からではなく、大学院から留学を希望する場合は、統計学を履修していないので、大学院留学は諦めなければならないのでしょうか?
日本で学んでなくても、チャンスはあるわよ!こっちでも、編入希望のオーストラリアの学生の中にも、統計を学んでいない生徒がごく稀にいて相談も結構あるのよ
まずは、どこの教育機関でもいいので、統計を学べば、入学条件を満たしているから認めてあげるわ!UOWのビジネスコースが開講している統計学は単一で履修できるから、おすすめかも。
筆者も、ドクターの言っている意味が少し不明だったので、調べてみました。まとめると、
オプション1:教育機関で統計を学ぶ
まず、ここで言う、どこの教育機関でもいいので統計を学べば大丈夫というのは、国で認めらているような大学や専門学校レベルの意味であり、個人で開講しているような、英会話スクールのようなイメージの統計学スクールではないと思います。(単位を履修したという証明がでないので)
そうなると、すでに社会人の方・学生の方は留学に必要な統計学のためだけに、どこかの教育機関に入学というのはかなり厳しいですし、現実的ではないですよね…。
オプション2:ビジネスコースが開講している統計学コースを取る(単体で履修可能)
- ビジネスコースの名前:COMM 121
- 期間:おそらく2〜3ヶ月(大学と同じ1セメスター)
- 通年開講しているのか?:不明ですが、2023年度は、夏期は開講(11〜2月頃)があるとのこと。
次に、UOW (筆者の通う大学)では、どうやらビジネスコースには単体で履修できる科目があるようで、その統計学コースのみ履修するというのが、現実的かもしれません。通年開講か?については、ビジネスコースで医学部系ではないので、スケジュールが若干違う可能性もあり、大学側に確認にしないとわからないということでした。
大学院入学時期は基本3月です。ですので、2023年度の夏期開講を例で考えると、憶測ですが、下記のような流れが想像できます。
- 大学院入学書類を提出する(エージェントに依頼)2023年度→
- その際、統計学が入学要件に満たしていないことを確認してもらい、Conditional offer をもらう→
- ビジネスコースの夏の開講(11月−2月頃 2023年度) で統計学を履修する→最終試験パス→
- Conditional offer がクリアされ、3月 (2024年) の大学院入学
最低限として、基礎の英語力がないと統計学の履修もできないはずなので、上記の流れ(憶測)はあくまでも、英語力がすでにクリアされている方とお考えください。
まとめ
日本で統計学を学んでいない方も、オーストラリアで栄養士になりたい!オーストラリアで勉強したい!という方は、必ずこの統計を学ぶという道を通らないといけません。
色々な準備があったり、日本とは違うシステムの中で、アレもコレも。と課題がたくさん出てきますが、やはり一番最初にクリアにしておくべきことは、英語力と金銭面の備えです。それさえクリアしていれば、大学側も、色々とアレンジはしてくれるのではないかな?と期待しています
卒業から10年というと長いようですが、筆者のように、気づいたら13年経ってたパターン=大学からやり直し!となると、学費が倍どころではないので、しっかり逆計算して、余裕を持って準備できるのが理想ですね
今回の内容は以上です。参考になりましたでしょうか?オーストラリアの栄養士に興味ある方は、他の記事もご覧ください
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